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性病事典 l(C)泌尿器科専門医・指導医 澤村正之
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■ 尖圭コンジローマの流行
尖圭コンジローマとは、淋病やクラミジアといったメジャーな性病からするとまだまだ知名度は高くありませんし、全国統計的にはまだまだ数が少ない病気です。しかし毎日性病の診療に携わる著者の実感として、ここ数年急速に増えてきて、しかも難しいケースが多くなったように感じています。国立感染症情報センターのデータからも尖圭コンジローマは年々増加する傾向にあることが読み取れます(こちら)。
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尖圭コンジローマ臨床統計 2005年新宿さくらクリニック
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男性
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女性
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| STD患者総数 |
1203
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219
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| 年齢 ( )内は平均 |
17〜69 (32.84)
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15〜66 (26.37)
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| 尖圭コンジローマ患者数 |
110
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17
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| 年齢 ( )内は平均 |
17〜67 (32.09)
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18〜44 (24.53)
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上の表は2005年の当院の臨床統計です。著者は泌尿器科専門医ですから、男性の患者様が圧倒的に多く、STD関連全体で男女比はほぼ6:1ぐらいです。全国統計(2003年感染症発生動向調査)でも男性3281 女性2925と、多少男性のほうが多いか、ほぼ同じくらいでした。尖圭コンジローマもほぼ同じ割合でした。年齢もほぼ同じ範囲ですので、尖圭コンジローマは淋病やクラミジアといったメジャーな性病と同じような経路で感染を広げていることが推測できます。
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| 尖圭コンジローマの男女差 |
なぜこのように男性のほうが多いのでしょう。その理由は、第一に男性の性器は表に出ているので本人が気がつきやすいけれども、女性の性器は表面にあれば気づくが、膣内の病変は検査を受けない限り見つからないこと。第二に女性では膣粘膜の入れ代わりが早いために発病しても自然に消滅することがあるためです。とはいえ女性には少ないのかというと、潜在的に尖圭コンジローマの原因となるヒトパピローマウィルスを持っている人が、20代女性の40%にも上るという研究もあり、今後の広がる可能性があって油断できません。
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| コンドーム使用率低下と尖圭コンジローマ |
尖圭コンジローマローマに限らず性病が全体的に増加している原因とのひとつしてコンドーム使用率の低下があります。コンドームの出荷量は過去10年で40%も減少しているとのことです。これに反比例するように尖圭コンジローマやそのほかの性病も増えているのですが、問題は数だけでなくて、病気自体が治しづらくなって、質が悪化しているのです。尖圭コンジローマを例にとると、以前は1−2個程度で数が少なくて再発もしにくかったものが多かったのですが、最近は数が多くて再発しやすいものが増えてきています。場所も亀頭部や外尿道口といった場所が増えています。これらの場所はコンドームさえしていれば予防できたはずです。
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| パピローマウィルス |
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尖圭コンジローマはヒトパピローマウィルス(HPV)が粘膜や皮膚の細胞を以上に増殖させて起こる良性腫瘍です。ですから腫瘍をとっても周辺にウィルスが残っていればまた再発してしまいます。パピローマウィルスには90以上のタイプがあり、これからも発見されてタイプが増えるでしょう。パピローマウィルスは尖圭コンジローマだけでなく、皮膚のいぼや皮膚がんからも見つかっていて、皮膚粘膜の良性または悪性腫瘍の主な原因と考えられています。尖圭コンジローマを起こすタイプは将来がんになる危険の少ない(ほとんどない)1,2,6,11型(低リスクタイプ)とがんになる危険がある16,18,31型(高リスクタイプ)に分けられます。ただし、高リスクタイプのパピローマウィルスに感染していたからといって、すべてが尖圭コンジローマに発病するわけではなく、さらにがんになるケースもそのうちの一部であることも付け加えておきます。
現在のところパピローマウィルスをなくす薬はできていませんので 、尖圭コンジローマができたら手術で取るか、液体窒素、抗がん剤を塗る方法しかありません。各国でワクチンの開発が進んでいるそうですので、数年後には使えるようにならないかと期待しています。
著者は尖圭コンジローマをむやみに怖がらないで、積極的に検査を受けることこそがもっとも大事だと思います。
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