性病事典 l(C)泌尿器科専門医・指導医 澤村正之
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性病事典トップページ 性病の基礎知識 パートナーが性病にかかったとき

■ パートナーが性病にかかったとき

 もしもパートナーから性病にかかったと告白されたら、あなたならどう対処しますか?感情論では済まされないことですので、あなたご自身のためにも、そしてパートナーのためにもするべき対処方法とその理由を書きました。

その@性行為がいつあったのか落ち着いて考える

 性病は性行為感染症とも呼ばれるように、性行為で人から人へ移っていきます。ですから、パートナーが性病にかかったことがはっきりすれば本人にも感染している危険がありますが、必ずしもそうでないこともあるので落ち着いて考えてください。
 
パートナーが発病してから性行為があったのなら 自分にも感染した可能性が高いでしょう。また、パートナーの発病直前に性行為があったのであれば自分から移してしまった可能性が高いと考えましょう。ただしこの場合は、以前にパートナーから移されていたが感染したことに気づかないで体内で菌が増えてしまい、相手に移し返した、ということもあります。ですから、パートナー以外の人との性行為がまったくなくても自分が感染源になっていることがあるのです。

そのA疾患別の考え方

 淋病やクラミジアなどの細菌感染症では、感染している人と
性行為を1回して感染する確率は約50%と考えられています。パートナーの感染が明らかになれば、積極的に検査治療をお受けになってください。
  コンドームをしていれば感染する確率はずっと下がりますが、最初から最後までコンドームをつけていたかによって感染率がぜんぜん変わります。性器同士の接触がないオーラルセックスであってもコンドームをつけていないと感染する危険が高いからです。

 ヘルペスや尖圭コンジローマ などのウィルス感染症では、感染してもウィルスに対して抵抗力(免疫)があれば発病しないこともあります。また、潜伏期間が数ヶ月から数年に及ぶこともあるので、いつ感染をしたのかよくわからないことが多いのです。ですから症状が出ていない場合のウィルス感染症の診断は非常に難しく、無症状のときに受診していただいても診断がつかないことがほとんどです。
  男性と女性によっても異なります。
女性では発病していなくても尖圭コンジローマのウィルスを検出することは可能です。子宮の出口付近をスポンジで粘膜細胞をこすりとって調べます。女性では目に見えない場所に発病して知らない間に子宮がんに発展してしまうこともありますから、積極的に検査をお受けになることをお勧めします。一方男性では、皮膚表面にはウィルスがいないために発病していなければウィルスを見つけることができません。

 HIV(エイズウィルス)では、相手がウィルスを持っていた場合に1回の性行為で感染するのは1〜0.1%といわれており、淋病やクラミジアの50%に比べると移りにくいともいえます。しかし、淋病やクラミジアは治すことができる病気です。これに比べてHIVは一生大きな負担を背負う感染症ですから、感染の重みが違います。

そのB相手による考え方

 感染確率は性行為の回数よりも相手の数によって危険が増します。たとえセックスパートナーが一人だけの人であっても相手にたくさんの人と性行為をしていれば危険が増します。相手が不特定多数の人と性行為をしている場合はあらゆる性病を持っている危険が高いといえます。風俗産業を肯定するものではありませんがプロはそれなりに管理している人もいるので、むしろ初めて会った人と「ゆきずり」「なりゆき」の性行為が危険であると考えます。

1回の性行為での感染確率シミュレーション
(淋菌とクラミジア)
1対1の場合
相手が複数の場合
1対1の場合の危険率
 淋菌とクラミジアは年齢によっても有病率が異なりますが、人口の10%程度の有病率と考えられます。これらの病原菌が1回の性行為で移る確率を50%とすると、初めてであったBさんと性行為をすることによってAさんに淋病やクラミジアが移る危険率は計算上 0.1X0.5=0.05=5% になります。

●セックスパートナーが複数いる場合の危険率
  1対1の危険率が5%の病気では、1回の性行為で病気が移らない確率は 1-0.05=0.95 です。
相手が二人の場合「2回続けて病気がかからない確率」を考えると 0.95X0.95=0.9025。 3人続けて病気にかからない確率は 0.95X0.95X0.95=0.857 です。10人続けて病気にかからない確率は
(0.95)の10乗=0. 599になります。
 病気が移る確率(危険率)は 1-(病気が移らない確率) ですから、計算上は上の記の表のような結果になります。「5人もいっぺんに付き合うわけないじゃない」とお考えの方はちょっと考えが甘いと思います。なぜならこの場合の「セックスパートナーの数」とは、過去の付き合いも含むからです。

 ただし、表はあくまでも計算上のシミュレーションであり、実際はこのとおりに感染するわけではありませんが、セックスパートナーが増えれば増えるだけ感染の危険が増すことは紛れもない事実です。
1対1だと思っていても・・・
●1対1と思っていても・・・
 AさんはBさんとの関係を1対1だと思っていましたが、実はBさんには過去の関係も入れて10人のパートナーがいたとすると、Bさんが感染している確率は40%です。 1回の性行為でAさんに病気が感染してしまう危険率は20%となります。
 

注)上記の図は著者が中学校の特別授業やアンアンの取材で使用したものを一部手直しして掲載しました。あくまでも計算上のシミュレーションに過ぎませんが、見ず知らずの人との性行為がいかに危険であるかをわかっていただくために載せました。感染確率は目安であって、実験データや統計データではないことをご注意ください。


性病事典トップページ 性病の基礎知識 パートナーが性病にかかったとき
<CONTENTS>
性病とSTDの違い
性病に共通した特徴
なぜ性病は蔓延するのか
パートナーがSTDにかかったとき
性の環境汚染とパートナーとの同時治療
検査は100%信用できるのか
性病患者はどれぐらいいるのか
性病科を受診する時の注意点
抗生物質の副作用と対応
性病の検査治療には健康保険は使えるのか
性病治療中にパートナーと風呂に入ってもいいか
性病の治療中に性行為をしてもいいか
性病治療中の洗濯物について
最近注目されている性病
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