淋病の症状(典型例)

性行為(オーラルセックスも含む)の後、数日で尿道がムズムズ,かゆみが生じ,尿道口周囲がべたついた感じになります。進行すると下着に汚れが付いたり,尿道口に白〜黄色いウミが出てきます。おしっこに伴う痛みは、ある場合もない場合もあります。
こんな症状があればまっさきに淋病を考えますが、個人差が大きいので,検査をしなければ確実なことはいえません。

学問的には「淋病」とは淋菌(Neisseria gonorrhoea) 感染症のことをさしますが,一般的なイメージでは上記のようなドロドロとした黄色い(膿性な)ウミを伴う尿道炎のことをいいます。このような症状を呈する細菌は淋菌の 他にも連鎖球菌、ブドウ球菌、腸球菌、大腸菌などなどいろいろありますが,要するに細菌の発育速度が速い状態で膿性のウミを発症しますから,治療には即効 性のある注射薬が必要です。
            

淋病の検査

淋菌は嫌気性菌といって、酸素のある状態では発育しませんから、通常の細菌培養検査では検出ができません。酸素がない状態で特別な栄養素を与えて培養しなければならないので手間と時間がかかる割には検出率は75%程度です。当院独自の「目視分類」では、80%以上の正解率でしたので、ベテランの臨床医が目で見て診断した方が,細菌培養よりも診断率が高いことになります。

実際の臨床では細菌培養法に変わって淋菌のDNAを調べる方法がいくつか開発され実用化されています。その中でも最近はDNAの一部のコピーを作って感度を上げる、核酸増幅法が主流で,コピーの増やし方によってPCR法やSDA法があります。当院の研究ではPCRもSDAもどちらも感度がよく,95〜97%の検出率でした。

PCR法はSDA法よりもわずかに感度がいい傾向ですが、咽頭の検査では淋菌の同属にあたる細菌(Neisseria Sp.)と区別がつかない場合があり,淋菌と間違えて陽性になってしまう場合があります(生物学的偽陽性)ので、咽頭検査には使わずに、咽頭ではSDA法を使います。2012年にリアルタイムPCR法が開発され、その方法では生物学的偽陽性はほとんどないので,咽頭にも使えるようになりましたが,まだ新しい方法なので,データが安定するまでは当院では採用をしない方針です。
 

淋病の治療

淋菌にしろその他の菌にしろ,ウミがたくさん出るような状態では細菌がどんどん繁殖している状態ですから,できるだけ早い時期に注射薬で治療しなければなりません。飲み薬だけで治そうとすると、耐性淋菌感染症や、慢性前立腺炎といったなかなか治らない病気に進展してしまう危険があります。その理由を以下に解説しておきます。

当院が順天堂大学感染制御科資料を提供して行った「淋菌の薬剤感受性と薬剤耐性化率の研究」では、淋菌の耐性化は実にペニシリンの 97.8%、ミノマイシンの91.1%に、シプロキサンの75.6%におよび、その他クラビットやジスロマックにも高い耐性化が進んでいることがわかりま した。アメリカの連邦食品衛生局FDAは、薬剤耐性化が5%を超えるものは治療に不適切といっており,現在国内で使用されている飲み薬にはその基準を満た すものはありませんが、日本では何十年も前に認可されたまま再評価されていませんから,「厚労省が認めている薬」として使われ続けているので,治せる病気も治せないケースが続発しています。 FDAの基準を満たしたのは、ロセフィン1.7%、トロビシン0.0%、ニトロフラントイン0.0%、ホスホマイシ ン0.0%などの注射薬しかありませんでした。最近ロセフィンの耐性化が新聞報道されていますが,ロセフィンは点滴によって非常に高く血中濃度を上げられるので臨床的に はあまり問題になる確率とは言えません。当院では6年も前にこの事実を学会報告して乱用を避けるように警鐘を鳴らしています。 淋菌と同属にあたる髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)も尿道炎を引き起こしますが,不思議なことに淋菌のような膿性分泌物ではなく,クラミジアのような漿液性分泌物を呈することが多く,治療薬もクラミジアに準じたものが有効です。

もっと詳しくお知りになりたい方は性病事典をご覧ください。

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