耐性淋菌に関する当院の見解

投稿日:2014年5月16日|カテゴリ:お知らせ

一部マスコミ、インターネット記事で「抗生物質がいっさい効かないスーパー淋菌」の報道がありますが、当院ではそのそのような淋菌感染症の患者様を経験したことはありませんし、記事を読むと単に、特効薬とされるセフトリアキソンに対する耐性が認められたと言うだけです。2006年から2007年にかけて当院と順天堂大学感染制御科(菊池賢准教授・当時)で共同研究した、淋菌臨床分離株180株における薬剤感受性試験ならびに耐性化率の検討(第80回日本細菌学会総会・第60回西日本泌尿器科学会総会ほかで報告)においてすでにセフトリアキソンに対する耐性淋菌は報告していますし、それでも他に有効な注射薬、内服薬は存在します。

日本で耐性菌が出やすいのは、多くの医師たちが抗生剤・抗菌薬の性能を良く理解しないまま、好き勝手に乱用することと、第一選択とされるセフトリアキソン等の注射薬を使わないで、飲み薬だけで治療することが原因です。逆にセフトリアキソンばかり使っていても耐性株ができてしまいます。日本の医師はその両極端の人が多いのだと思います。

セフトリアキソンは1986年に発売されましたが、淋菌感染症の適応が追加されたのは2004年です。それまでは海外で淋菌に対してとてもよく効くことが判っていたのに使えない時代が続いて、臨床家としてとても歯がゆい思いをしていました。2004年当時、専門家の間では、セフトリアキソンの血中濃度と淋菌に対する90%発育阻止濃度の差から、「今後20年間は耐性菌が出ない」と言われていましたが、当時私は「そんなことはない。数年で耐性菌ができるに決まっている」と考え、前述の研究を開始して学会に報告しましたが、全く無視されることが続いていました。最近の現象は、「耐性株の割合が増えた」だけで、「スーパー淋菌ができた」のではないと考えています。

当院では過去20年間に治せなかった淋菌感染症はありませんでしたので、「スーパー淋菌」の存在すら認識していません。
記事に書いてあるような「エイズよりも致死率が高い淋病」があったら、今頃世界中が大パニックになっています。
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ですから、そのようなデマ的記事をお読みになっても気にせず、もしも症状があるなら診療いたしますので、どうぞご来院ください。

なお、「週刊ポスト」誌からスーパー淋菌の取材申し込みは受けましたが、上記の事情を説明の上、むやみに一般の方を怖がらせるような記事は書かないでくださいと申し入れるにとどめて、取材はお断りしています。

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