10月5日(土)ヒルトン東京お台場で行われた第84回日本泌尿器科学会東部総会に於きまして性感染症(STI)の教育講演を行いまました。当日は日本では「性病予防法」の影響がまだ残るために、性感染症(STI)の正しい知識の普及が遅れ、患者様が多大な迷惑を被っている現状を訴えました。
各論は
①梅毒:今年1月1日に変更された梅毒届出基準を解説しつつ、臨床の現場では届出基準に満たない数字でも治療判断をしなければならない事例を臨床写真とともに開設いたしました。
②尿路性器感染症:男性と女性の性器の構造の違いから治療意義の違い、カップルを別れさせない秘訣、実際の診察の模様など、患者様の人間関係や名誉、精神的ダメージに配慮した診療の仕方を指導しました。また初診時に検査結果な分からない状態での治療薬の選択方法など、細菌学的データを駆使して解説しました。また、尿路系マイコプラズマの解説もしました。
③性器ヘルペス:ヘルペスは皮膚症状、神経刺激症状の他に、少なからず精神的なダメージを伴うもので有り、石が、そこを理解していないために被害をこうむっている、まともな医療を受けられない患者様が多く存在すること、診療に当たって医師は「ヘルペスとの戦いにおいて今日から私が一緒です。」と、宣言する「Not Alone」の精神が必要であることを説明しました。
ヘルペスのステージ別の治療手順と薬剤の選択についても解説しました。特にファムシクロビルとバラシクロビルの体内動態や作用点の違いを利用した使い分け方法などを詳しく説明いたしました。再発抑制療法終了後の管理に、Patient Initiated Therapyが有効である事を報告しました。
④尖圭コンジローマ:具体的な治療方法を、冷凍凝固、外科的切除、免疫賦活両方のそれぞれで臨床写真を供覧しつつ、研修医に説明するような感じで詳しく解説しました。また、最近急増している外尿道腫瘍の手術手技も、簡単なものから難しいもの(Dolphin Ope)まで多くの臨床写真を供覧して解説いたしました。
27年間の臨床最前線の診療技術や物の考え方、診療哲学など、次世代に伝えるべきものを伝えてきたと思います。