最近注目されている性病

投稿日:2010年6月8日|カテゴリ:バックナンバー

●最近注目されている性病

 クラミジアや淋病といった古典的な性病は、若い世代で少しずつ減る傾向にあるようですが、その反面中年以降で増えています。

 オラルセックスなど感染経路の変化によって今まで考えられなかった場所に性病が感染するようになりました。かつてはのどからクラミジアや淋菌が検出され るのは性風俗に勤める方ぐらいでしたが、今は一般の方からも時々見つかるようになってきました。のどの性病は、まだまだ数は少ないのですが、それほど珍し くもなくなってしまいました。

  著者が今注目してているのは尖圭コンジローマ性器ヘルペスで す。性器ヘルペスも尖圭コンジローマも、最近亀頭部周辺や尿道の出口付近に目立つようになってきました。この部位の皮膚は薄くて、症状が激しく、治療しづ らいのが特徴です。この場所への感染はコンドームさえしていれがかなりの確立で防げるはずです。しかしコンドームの出荷量がここ10年で半減しているよう に、コンドーム離れは年々加速する一方です。コンドームを使わなくなった理由は第一にエイズに対すつ恐怖が薄れてしまったこと。第二にピルの解禁によって 避妊具としてのコンドームの地位が下がったこと。そして性教育の現場でコンドームを積極的に取り上げないことが考えられます。
 
性器ヘルペスと尖圭コンジローマは全国統計ではまだまだ報告数が少ないのですが、新宿で診療している著者の所や、首都圏で診療している仲間の医師たちから、「最近とても増えていて、しかも治療が難しいものが多くなった」との声がよく聞かれています。

 尖圭コンジローマを引き起こすヒトパピローマウィルス(HPV)のなかには、10-20年にわたってがんを引き起こす性質を持ったタイプのものがありま す。著者の友人の婦人科医から、「若い世代で子宮頚管部の異型性をよく見かけるようになった(子宮の入り口付近にがんになりかけの細胞が見つかった)」と 聞かされています。 早く有効な対策を立てなければ私たちの次の世代の人たちがとても悲しい思いをするのではないかととても心配しています。