性病事典 l(C)泌尿器科専門医・指導医 澤村正之
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●性病の検査は100%信用できるのか

 性病の検査はすばらしく進歩しています。たとえばクラミジアを検出する方法は、クラミジアのDNAの一部をコピーして増やすことによって検出感度を上げています(遺伝子増幅法)。コピーの方法がいくつかありますが、それぞれで検出感度が異なります。現在最も検出感度が高いのがPCR法です。

 PCR法はとても優れた方法と世界的にも評価が高く、BSE(狂牛病)の検査にも使われています。しかしこのPCR法をはじめとするコピーを作る検査方法(遺伝子増幅法)全般的に欠点があります。ひとつはDNAコピーを作るのに時間がかかること。通常検査センターに依頼して結果が出るまでになか4日必要です。週末が入るとその分結果が出るのが遅くなるので1週間の猶予が必要になります。次に、検査に特別な施設が必要です。どこでも気軽に検査をすることができませんので、専門の施設(検査センター)に依頼しなければなりませんから、時間もかかるし、コストが高くなります。第3に、コピーを作るときに特別な技術が必要です。検査センターによって結果がばらついてしまうこともあります。

 さらに、一般には知られていませんが検査結果にはグレイゾーンといって、プラスでもマイナスでもない部分があります。 グレイゾーンに入ると検査をやり直してさらに厳しい判定基準で結果を出します。検査技師さんたちのご苦労は大変なものです。でも、何度再検査をしても検査代は1回分しかもらえません。再検査の回数を減らすためにグレイゾーンを狭くする動きが過去になかったわけではありません。

 検査で病気が見つからないのはなぜでしょう。検査をした場所に病原菌がなければ検査結果はマイナスになります。検査のマイナスは「検査した検体に病原菌がいなかったことの証明にしかなりません。 著者は講演会で医師に向けて、「性病の診断は、感染の状況と症状が最も重要で、検査結果は補助に過ぎない。検査のプラスは信じてもいいが、マイナスでも安心できない。」といっています。

  われわれ医師はグレイゾーンの設定をあまり知る機会が少ないのです。いや、ほとんどの医師は検査の基準がどうなっているのかすらよく知らないのです。検査の結果は尊重するべきですが、それをを鵜呑みにして、果たしていいものでしょうか。医師は臨床症状や感染の状況、判定基準になった測定値(OD値など)を総合して診断するべきであって、検査結果を盲信してはいけないのです。
 
 最近インターネットなどで検査キットを販売したり、尿や血液を郵送して結果を出してくれるサービスが普及してきました。人に知られずに結果を知りたい人や、医者に言っている時間がない人たちには大変便利なサービスです。国もこのようなサービスを後押ししているようです。ドラッグストアやコンビニでキットが買えるようになる日もそんなに遠いことではないでしょう。このようなキットをお使いになる場合、判定は「自己責任」において行われますから、検査精度の高いものか低いものか、よく吟味されてください。また輸送中の検体の温度変化、検査するまでの時間によっても大きく結果が左右されます。このようなキットをご使用になられる場合でも、「プラスは信じてもいいが、マイナスでも安心はできない」と思ってください。感染の疑いがあればできるだけ早く専門医を訪れることをお勧めいたします。

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<CONTENTS>
性病とSTDの違い
性病に共通した特徴
なぜ性病は蔓延するのか
パートナーが性病にかかったとき
性の環境汚染とパートナーとの同時治療
検査は100%信用できるのか
性病患者はどれぐらいいるのか
性病科を受診する時の注意点
抗生物質の副作用と対応
性病の検査治療には健康保険は使えるのか
性病治療中にパートナーと風呂に入ってもいいか
性病の治療中に性行為をしてもいいか
性病治療中の洗濯物について
最近注目されている性病
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