性病で受診する前の注意点

投稿日:2010年6月8日|カテゴリ:基礎知識

●性病で受診する前の注意点

性 病は自覚症状が出ないことが多いので、性病科を受診しようと思うひとにはそれなりの事情があると思います。症状が出る直前に性行為があったとか、自分は無 症状だがパートナーが性病と診断されたとかです。ですから患者様は病院に来るのにすくなからず勇気をだしてこられると思います。なかには性病と診断される のが怖くて病院に行かないひともいます。 ほとんどの性病は簡単に治せる病気ですが、治療するタイミングを逃してしまうとなかなか治りにくい病気になって しまうこともありますから、思い立ったらすぐに病院に行きましょう。

●性病に健康保険は 使えるのか
 答えは「はい。使えます」です。健康保険を使わないと医療費が非常に高くなってしまいます。特に若い方は医療費を気にして病院に来ることさえしないケースも目立ちます。
確かに性病の治療には精密な検査方法や一流の治療薬を使わなければならないことが多いので、かぜなどの診療に比べたら医療費は高めになります。しかし治療のタイミングを逃すと、不妊症など、一生後悔する結果にもなりかねませんから、早い時期に適切な治療を受けるためにも健康保険を使って十分な検査治療をお受けになっていただきたいと願っています。健康保険証のコピーは使えませんから、必ず原本をお持ちください。
  ただし医療機関が健康保険の認定を受けていなかったり、特殊な検査治療など一部例外もありますので、詳しくは 「性病の検査治療に健康保険は使えるのか」のページをご覧ください。

性病科受診時の心得
①受診前はできるだけおしっこを我慢して
  男性尿道炎の検査には、その昔は綿棒を尿道の中に突っ込んで尿道粘膜細胞を擦り取るという、荒業がありました。いまではそんな恐ろしいことはしなくてすむ ようになったので、ご安心ください。その代わりおしっこの検査で検査することができるようになりました。この検査の前に尿道の出口をガラスにスタンプする 簡単な検査がありますから、おしっこを最低でも2時間以上我慢した状態でないと検査がうまくできないことがあります。検査ができない場合には、時間を改め て出直していただくこともありますのでお気をつけください。
 女性でも パートナーの感染が明らかな場合などは本格的な検査を省略して検尿だけですむことがありますから男性同様おしっこを我慢してからご来院くださるようにお勧 めいたします。診療直前に入浴すると検査ができなくなりますので、ご来院の直前には入浴・シャワーをされないでください。性器ヘルペスや尖圭コンジローマ などの皮膚粘膜疾患の場合には検尿検査をいたしませんのでおしっこを我慢する必要はありません。

② できるだけパートナーとごいっしょに

 性病は自分ひとりだけの病気ではありません。性の環境汚染と考えて積極的にパートナーと一緒に検査治療をお受けになってください。病気によっては無症状 の方には検査ができないこともあります。詳しくは前述の「パートナーが性病にかかったとき」をご覧ください。

③受診には時間に余裕を持って
 一般に性病の検査は
比較的簡単ですのであまり時間がかかりませんが、時として検査に時間がかかる場合や、注射薬を安全に使うための皮内テスト・点滴注射などに時間がかかる場合もありますので、受付終了の1時間前までにはご来院くださいますようお願いいたします。

④いつからどんな症状があったか、よく整理しておきましょう
 医者の前に行くと、うまく話せなくなってしまうひとがいます。性病科では特に恥ずかしいという意識が働いて余計に説明できないことがあります。医者は必 要な情報以外について根掘り葉掘り聞くようなことはいたしませんから、恥ずかしがらずに聞かれたことに落ち着いて答えていただければ結構です。性病科の診 察で重要なのは、いつからどのような症状があったのか、そして、原因となる性行為はいつごろで、その相手は誰なのか?ということです。「相手」とはおおま かに「パートナー」「付き合っている人」「行きずり」「風俗店」等々です。
「パートナー」と「付き合っている人」の場合にはその人の検査治療が必要だからです。それ以上の詳しいことは聞く必要もありませんし、ご本人の許可なくしてパートナーに病状を知らせることもありませんからご安心ください。

⑤最後まで治療をしましょう
 
2005年の当院統計では男性尿道炎で6ヶ月以内に再発してしまった方のほとんどが最終チェックを受けなかったか、パートナーの治療をしなかったかに当てはまりました。性病の自覚症状は自然に消えてしまうことがほとんどですから、完全に治りきっていなくても自分はもう治ったと誤解してしまうのは人情です。しかし、病気は人間の都合に合わせてはくれません。かえって生き延びるチャンスをもらったと喜んでいることでしょう。少し面倒でも医者が「もう大丈夫です」というまでは通院しましょう。

⑥院内ではご静粛に
 性病科を受診する際に恥ずかしい、怖いと思うためか、パートナーではない友達を連れてくるひとがいます。時にはご一家みなさまでこられることがありま す。ほかの患者様はあまり多くのひとと会いたくないと考えていらっしゃることもありますので、できるだけ患者様とパートナーの方だけにして、待合室で大き な声で談笑したり、飲食されたりなさらないでください。診療に支障をきたしたり、ほかの患者様にご迷惑となる場合は退去していただくことがあります。ま た、酒に酔ってのご来院もお断りいたします。