男女別クラミジアの症状

投稿日:2010年6月8日|カテゴリ:淋病とクラミジア感染症
●男女別クラミジアの症状

  性器クラミジア感染症は感染しても約半数のひとが自覚症状に気づかないし、それに恥ずかしいという気持ちもあるのでしょうか、なかなか医者にかかろうと思 わない病気です。条件にもよりますがパートナーがクラミジアにかかっていれば1回の性行為で移る危険はおおまかに約50%。決して低い確率ではないので す。”危険な性行為”に少しでも思い当たるふしがあったなら、早く専門医を訪ねてください。

性器クラミジア感染症 男性の症状
<症状の特徴と病気の進展> 
 男性の性器クラミジア感染症では感染して数日(1-2週間ぐらい)のあいだに(初期に)尿道炎が起こります。
  排尿時刺激症状=患者様が「おしっこするときにいたい」、「しみる」、「排尿時灼熱感(熱い感じ)」おおっしゃる症状がこれです。
  ウミの量は淋病に比べると少ないか、ほとんどないこともあります。ウミは透明から乳白色、サラサラ(しょう液性)で、あまり粘り気がありません。

 

 1週間以上放置しておくと、クラミジアが尿道の奥へと移動していきます。尿道の一番奥には前立腺があって、ここは精子に栄養を与えて成熟させる臓器で す。そのうえ抗生物質が届きにくく、細胞にとっては都合のいい場所です。病原菌が前立腺に入ってしまうとなかなか治しづらい病気に発展してしまいます。 前立腺には痛みを感じる神経が余りありませんから、自覚症状がほとんどなくなってしまいます。それでも周辺の皮膚の神経を使って異常を知らせようとします から、前立腺炎の症状は場所が一定しなかったり、日によって症状が変化したりします。ですから前立腺炎の症状はまちまちです。その中でも多い訴えは絵陰部(肛門と陰のうの間)、下腹部(恥骨付近)、ソケイ部、内ももなどの鈍い痛みなどです。

 前立腺からさらに奥には睾丸(精巣)まで続いています。前立腺炎を治療しないで放置すると睾丸の近くまで菌が進んでしまいます。睾丸の周りには副睾丸 (精巣上体)があり、ここは睾丸でできた精子を集めるターミナル駅のような働きがありますから、細い管が網の目のように張り巡らされています。副睾丸が フィルターのような役目を果たしてくれるので、たいていの病原体はここに引っかかって副睾丸炎(精巣上体炎)が 起こります。通常副睾丸は紙のように薄く、よく気をつけて触らないとどこにあるのかもわかりにくい臓器ですが、副睾丸炎が起こると腫れ上がって、場合に よっては睾丸自体より大きく腫れることもあります。「睾丸が腫れた」というけれども正確には副睾丸が腫れたという状況です。この場合、たいてい睾丸からソ ケイ部にかけて激痛や高熱を伴います。副睾丸炎は左右どちらか片方なら不妊症にはなりにくいのですが、両方に起こったら、不妊症になってしまう危険が高く なります。すぐに病院に行って診察を受けましょう。

性器クラミジア感染症 女性の症状

<症状の特徴と病気の進展> 
 女性ではクラミジアは最初に子宮頚管部粘膜(膣 の奥、子宮の入り口)に感染します。ここには痛みを感じる神経がほとんどありません。余談ですが、この場所には尖圭コンジローマもできやすく、レーザーメ スのような簡単な手術の場合は麻酔を使わなくても痛くなく手術できるほどです。それほど痛みを感じませんから、当然クラミジアに感染してもほとんど症状を 出しません。クラミジアに感染すると、膣内の抵抗力が下がってほかの病原菌が進入しやすくなります。そのため膣炎が起こります。膣炎の症状は性器のかゆ み、汚いオリモノ、性器のにおいがきつくなるなどです。膣粘膜に炎症が起こっていますから、性行為をすると痛い(性交痛)という症状も初期にはよく聞かれ ます。

 女性の場合でも男性と同様、初期に十分な治療ができないとクラミジアは体の奥に侵入していきます。進行状況の順番に子宮内膜炎、卵管炎、腹膜炎 となってゆきます。子宮内膜炎では下腹部の痛み、生理痛 、不正出血が主な症状です。流産の原因にもなります。卵管炎になると生理痛のほか、卵子の通り道である卵管がふさがってしまって不妊症の原因になります。

 卵管の出口は腹腔内につながっていますから、さらに進展すると腹膜炎になります。通常は骨盤内腹膜炎として頑固な腹痛、生理痛、不妊症などの症状です。 時として激しい上腹部痛を起こすことがあります。この場合、クラミジアが肝臓の裏側に侵入して、肝周囲炎(Fitz-Hugh-Curtis症候群)を起こしたためです。

●産科の先生からご指摘により下記を追加いたします。
 妊婦検診でクラミジアの検査は重要です。出産年齢の女性にとってはクラミジアはSTDのダントツのトップに君臨しています。母体がクラミジアに感染して いて未治療で出産すると新生児結膜炎や肺炎の原因となり得ます。たとえ妊娠中であっても治療が可能です(もちろんパートナーも一緒に治療する必要がありま す)。他の感染症もそうですが頻度の関係上、クラミジアの母子感染を産婦人科医、新生児科医は非常に懸念していますので、是非とも積極的に診断、治療を受 けてください。

<症状の男女比較>
 解説が難しくなってしまいましたが、要するに性器クラミジア感染症は男性に比べて女性のほうが症状に気づきにくく、しかも深刻な身体的影響を受けやすいということです。男性の皆様、自分の症状が軽いからといってパートナーも大丈夫と思わないで、いっしょに治すことは、男の義務!ですね。 
上記のような婦人科的な病気の解説は、正直、泌尿器科医の著者にとっては教科書的な知識の域を脱しません。もしも上記のような症状にお気づきになったら、早く婦人科を受診されることをお勧めいたします。

 

 

 
男性
女性
潜伏期間*
当日〜1週間
2週間前後
初期自覚症状
無症状・排尿痛・尿道違和感・尿の灼熱感
無症状・オリモノ・膣のかゆみ・性交痛
進展順路
尿道炎→前立腺炎→副睾丸炎
子宮頸管炎→子宮内膜炎→卵管炎→腹膜炎
合併症**
不妊症になることはまれ
(身体的影響は軽いことが多い)
不妊症・流産・生理痛
(重大な身体的影響)
検査
尿中PCR
頸管粘液PCR・血中抗体
治療***
2週間〜数ヶ月
2週間〜数ヶ月
 

* 潜伏期間はおおまかな目安です。感染した菌量や、体調によっても大きく変わります。
まれに感染から発病まで数ヶ月かかる場合もあります。

** 個々のケースでは前立腺炎でも身体的影響が重いこともありますが、あくまでも男女を比較したための表現です。

*** 初期には男女とも2週間。進展した場合には数ヶ月かかることがあります。女性の腹膜炎と男性の副睾丸炎には入院の上点滴が必要になることがあります。